『香り花房・かおりはなふさ』では、日本の香りと室礼文化を研究しています。

香り花房 ー『香りと室礼』文化研究所 ー
香りの情景

春の草花の香り

 春の訪れを待ち望み、いち早く感じ取っているのは、人間よりも自然の植物達かもしれません。
 小さく可憐な春の花が、大地に寄り添うように低く恥ずかしそうに咲く様は、なんとも微笑ましいものですね。
 深い森や緑の丘を飛びまわる妖精は、うっとりと香りのよい草花が大好き、そんな可愛い春の花と香る草ハーブを集めて春野のポプリを作りましょう。
 甘く優しく漂いくるその香りは、春の陽射しのように暖かく感じられることでしょう。

妖精のポプリ


 日本でも各地で様々な伝説や民話が語り継がれているように、北欧や英国に多く残る妖精の物語は、人々の生活と共に現代も生き続けています。
 自然の中でのびのびと暮らし、自由気ままにふるまう彼らに安らぎを覚える方も多いことでしょう。
 今回は、妖精の不思議な世界を少しのぞいてみることにしましょう。

 17世紀のイギリスでは、妖精の姿は“まばたきとまばたきの間にしか見ることができない”と本当に信じられていました。アイルランドに多くの妖精伝説が誕生したように、この国の人々ほど妖精にこだわりを抱く人々はいないかもしれません。


「ピーターパンの冒険」

 英国の作家バリーの著した有名な物語「ピーターパンの冒険」には、不思議な文章がたくさんでてきます。
「赤ちゃんがはじめて笑った時、その笑いが何千ものかけらになって、ピョンピョン飛び跳ねてゆくんだ。これが妖精の始まりなんだよ。」
「妖精というのは良いか悪いかどっちかなのです。それというのも身体がとても小さいので、一度にひとつの心しか持てないのですよ。」
「子供って、いろんなコトを知るようになると妖精を信じなくなるんだよ。それで子供が“妖精なんて信じない”って言うたびにどこかで妖精が落ちて死ぬんだ。」
「ウエンディ、僕は生まれた日に逃げ出したんだよ。お父さんとお母さんが話をしているのを聞いたから。僕が大人になったら何になるのでしょう。って相談していたんだ。」

 これらのピーターパンのセリフは、私たちが成長する過程で心の奥にしまい込んだり、失ってしまった感情を呼び覚まします。
 妖精と共に暮らし、大人になることを拒んで子供の世界で生き続けるピーターパンは、現代に生きる私たちにとって、決してかなわぬ夢ゆえ憧れを抱かせるのかもしれません。

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